法律と動物の話

遺言のお話

万が一、自分に何かあった時のために

安心出来ること…

「今どんな事をなさっていますか?」

そう問われると、多くの方は

「保険」

「貯蓄」

を思い浮かべる方が多いかもしれません。

 

ですが、今ある財産は、いつでも自由に使いたい。

そんな今を大切にしながら、気持ちをかたちにする方法がございます。

「定期的な保険料金」は必要ありません

「遺すための預金」を予め確保する必要もありません

気持ちを遺すことで、ご自身もご家族にとっても、安心出来る方法

それが「遺言」です。

「遺言書」はけっして

ご高齢の方やたくさんの不動産を持っている方だけが考える事ではなく

あらゆる世代の方の安心につながるメリットがあります。 

・20代、30代の若く日々ライフスタイルが変わっていく時期

・40代、50代の日々人としての魅力の増していく、働き盛りの時期

・60代、70代たくさんの楽しみと大切なものが増えていく時期

・80代、90代ご自身と家族世の中を深く考え若い世代に大切な事を伝える力のある時期

ご自身を伝える、残すことは、心の奥に住み着く不安の解消になります

 

 

・自筆証書遺言って?

・手軽に作る事が出来ます。

・厳格な方式が要求されます。

・方式の不備があると、せっかく作ったものが無効になる恐れがあります。

・ご相続発生の際、裁判所で検認の手続きが必要です。費用がかかります。

 

・公正証書遺言って?

<このような事が出来ます>

・紛失・亡失、隠匿・改ざんを防ぐことが出来ます。

・ご本人の想いの実現に繋げます。

・相続手続きが円滑に進みます

 

<このような流れで作成します>

・ご本人で遺言書の内容を決めます。

 想いを伝える内容、一番重要で悩むところです。

 司法書士は、不動産登記手続きに関することなど、将来ご相続が発生した時の権利関係の保全について、法的に必要なアドバイスを行いつつ、ご意思の実現をサポート致します。

・公証役場で作成します。

 費用は遺言の内容・文章の量により変わります。

 公証人に出張してもらうことも出来ます。

 証人2人の立ち合いが必要です。

・公証役場で保管されます。

 改ざん、紛失等の恐れがありません。

・認知症などで、遺言内容を忘れてしまっても安心です。

・遺言書の撤回・変更する事も出来ます。

 その時の事情や気持ちの変化にも対応できます

 手数料は再度必要です。

・ご相続人等は遺言書の検索・原本閲覧、謄本請求が出来ます。

 公正証書遺言を残しているかどうか、全国の公証役場の遺言書を検索できます。

 

・法務局における自筆証書遺言書保管制度って?

令和2年(2020年)7月10日施行

<このような事が出来ます>

・紛失・亡失、隠匿・改ざんを防ぐことが出来ます。

・ご本人の想いの実現に繋げます。

・相続手続きが円滑に進みます

 

<このような流れで作成します>

・ご本人で自筆証書遺言書を作成します。

 想いを伝える内容、一番重要で悩むところです

 ※法務局では作成に関する相談については、一切対応していません。

・法務局にご本人が法務局(遺言書保管所)へ申請に行きます。

 ご家族の方が代理では申請出来ません

・保管申請の手数料は遺言1通につき、3900円です。

・保管証が発行されます。

 法務局に保管されているので、改ざん、紛失の恐れがありません。

 将来、遺言内容を忘れてしまっても安心です。

・遺言書の撤回・変更する事も出来ます。

 その時の事情や気持ちの変化に柔軟に対応できます。

・保管後に遺言書の閲覧が出来ます。

 ご自身で内容の確認が容易です。

・ご相続開始後、ご相続人は遺言書の閲覧及び遺言情報証明書(※)の取得が出来ます。

(※)相続登記手続きや銀行での各種手続きで使用することを想定している証明書です

 

 

一番重要な遺言書の内容に関しては、法務局で相談対応がありません。

司法書士あさ事務所では、ご相談者さまのご事情をお伺いして、どのような手続きが適切なのか一緒に考えてご提案致します。

 

 

相続手続きのお話

ご相続が発生した時、悲しみの中やらなければならない手続きがたくさんあります。

相続手続きの流れ

・死亡届、火葬埋葬許可申請

・年金受給停止

・健康保険等資格喪失届

・準確定申告

・相続税申告

・生命保険請求

・国民年金死亡一時金請求

・国民年金遺族基礎年金請求 

・厚生年金遺族厚生年金請求

・預貯金の名義変更

・株式の名義変更

・自動車所有権移転

・不動産名義変更(処分の場合は売却手続き) 

 

等々…

葬儀を終えて役所や年金事務所に手続きが終わった後もまだまだたくさんの手続きが残っていまs。

故人が遺してくれた財産について相続人皆で話し合いを重ねた上で、一つ一つ手続きを行うのは、時間と労力、さらに法律的な専門知識が必要な場面もあります。

ご相続人の方の中にはお仕事をされて時間が取れない方いたり、遠方にお住まいの方、ご高齢の方、その他にも様々な事情がある中で、大事な親族の間でトラブルなくスムーズに遺産分割協議をまとめる必要があります。

銀行の解約手続き株式証券の相続手続き、不動産の名義変更や処分といった手続きは、時間と労力、専門知識が必要です。

 

そんな時、司法書士がお手伝い出来ること…

・お話を伺った上で、法的なアドバイスを行いつつ適切な方法をご提案します

・相続の全体の流れから必要な書類のご案内・作成から手続きまで司法書士の業務範囲内でサポート致します

ご相続の際は、司法書士だけでなく、弁護士、税理士、社会福祉士、行政書士いろんな法律家が関わる事情が出てきます。

どの手続きを誰に依頼するべきか…そんな迷いもご相談の中でお伺い致します

 

 

後見制度と民事信託のお話

 日常生活にある「困った」。例えば…

・高額商品をよく理解できないうちに購入してしまった

・お金の貸し借り、その他の重要な契約を十分に理解できない、判断が難しい

・預貯金や不動産の管理などが不安になってきた

・日常生活に必要な家賃・公共料金の支払い、年金などの収入の管理が難しい

こんな「困った」をサポートするための方法として、「成年後見制度」と「民事信託」があります。

 

「成年後見制度」には、「法定後見制度」と「任意後見制度」の二つがあります。

この二つの大きな違いは

「法定後見制度」

今現在、法律に基づいて判断する行為が一人では難しい、間違えてしまう、忘れてしまう心配がある場合に利用する制度です。

・申立が出来る人は、本人や配偶者・4親等内の親族・未成年後見人・未成年後見監督人・保佐人・保佐監督人・補助人・補助監督人・検察官、一定の要件の場合に市町村長です。

・裁判所に成年後見制度を利用するための申立てを行います。

・サポートする人(後見人・保佐人・補助人)は、裁判所によって選任されます。

 

「任意後見制度」

今は、元気で一人で日常生活を送る事が出来ているが、将来が不安な場合に利用する制度です。

・ご自身が選んだ人と信頼関係を深めながら、サポートしてもらう事ができます。

・ご自身の意志を伝える事が出来るので、将来の希望を予め伝えておくことで将来の不安が軽くなり安心して生活を送る事が出来ます。

 

*「法定後見制度」を利用する場合*

・必要なサポートの程度により「後見」「保佐」「補助」の類型ごとの法定後見制度の申立て書類の作成を代理してサポート致します。

・必要なサポートの程度は医師の診断書をもとに検討します。

 

*「任意後見制度」を利用する場合*

・現在の状況と将来の希望をお伺いし、そのご意思の実現のために適切な内容の”任意後見契約書”を公正証書で作成します。

この契約書は、ご本人と任意後見人(サポートする人)を結ぶ重要な書類になりますので、後日のトラブルのないように、司法書士は法律的なアドバイス致します。

・任意後見人は信頼する親族だけでなく、司法書士などの専門職も選ぶことが出来ます。

・任意後見人の業務は財産管理と身上監護です

・判断能力が低下し、サポートが必要な段階で家庭裁判所に申立てを行います。

 

*「民事信託」と「任意後見人」の違い*

・民事信託も任意後見制度と同様に「今は元気…だけど将来に備えたい」時に契約する手続きです。

・家族間で財産を管理します。家庭裁判所の関与がありません。

・契約と当時に効力が発行します。信託口座を開設し、ご本人の財産を守ります。

・ご本人のための生活費の支給、医療費の支払い、施設入居費の支払いなどを信託口座の財産から支給する事が出来ます。

・受託者(ご本人をサポートする人)の行う内容には、身上監護は含まれていません。※家族の立場として、今まで通りご本人の介護を行うかたちになります。

 

*ご相談の流れ*

・現在の状況や不安な事を細かくお伺い致します。

・ご本人だけでなく、お子様やご親戚にサポートが必要な方がいる場合もご相談下さい。

・どの制度の利用が適切か、または、その他の方法でサポート出来る手段も検討しながら一番適切な方法をご提案致します。

・必要な書類のご案内・ご家族など関係者への説明について・書類作成の代理など、申立て、契約からその後のサポートも致します。

お気軽にご連絡下さい。

 

 

動物(家族)のためのお話

動物の将来の事を考えておく方法って?

高齢化・核家族化した現代、今後ますます私たちとって動物たちの存在は、かけがえのない重要なパートナーとなっています。

そんな現代の深刻な問題として、人も動物も高齢化が進み、核家族による家族内での介護の限界、高齢者の孤独の問題は、人間の家族だけでなく大切な伴侶動物にも深刻な問題です。

また、動物の医療も発展し、人間だけでなく動物も高齢に伴う問題は深刻になっています。

 

介護の大切さ、難しさは人も動物も同じです。

・一人暮らしで万が一の時に、頼れる人がいない

・認知症になった時を考えると不安

・大切な動物(家族)なのに相続財産をあげられないなんて…

・今後のことを考えると、不安を感じる

 

民法上「物」と定義されている動物たちの社会的地位は、昔と大きく変わってきています。

それでも、残念ながら人間と同じように法律上の保護は受けれらません。

社会福祉もまだまだです。

大切な家族、人も動物もずっと安心して暮らせるように、今、考えておく事を司法書士の観点からご相談お受け致します。

動物の事も考えた安心のための準備は、それぞれのご家庭の事情により最適な方法がございます。

「財産管理」「遺産承継」「生前贈与」「死因贈与」「遺言」「負担付き遺贈」「任意後見」「家族信託」…現在多くの制度や契約方法があり、似ているようで、それぞれにメリット・デメリットがあります。

せっかく手続きしたのに、望んでいた事が実現出来なかった…後悔してしまった。

そんなことにならないように、まずは、お話をお聞かせください。

幼い頃から動物が好き。

そんな多くの人が持つ感情を持った私が動物資源科学部(農学科)を卒業してから、畑違いの司法書士という仕事と縁があり、今に至ります。そんな私自身自身の育った環境・得た経験をもとに、司法書士として出来る事をサポート致します。

 

  

動物と法律のお話 

  動物が人を傷つけた事による裁判は、動物が門番やネズミを捕る事が役割だった昔の時代からありました。

そんな動物たちは、法律上「物」として定められています。

しかし、現代では家族の一員として人の心を癒し喜びや、生きがいを与える”人間のサポート役”へとその存在は変わっています。

 また、2019年6月、改正動物愛護法が公布されました。

その中では、動物は単なる「もの」ではなく、「命あるものである」と規定されています。

「愛護動物殺傷罪」も改正前よりは罪が重くなっています。

このように、動物への関心は高まっている今、「物」としての価値だけでなく、その背景にある飼い主の精神的苦痛の対しての慰謝料、動物の治療費に対する損害賠償を認めるなど、動物たちへの重要性が裁判所の判断の中でも認められてきています。

その反面、動物のトラブルも多種多様になり、飼い主の責任を問われる裁判例も増えています。

個々のトラブルからどんなトラブルがありどのような判決が下りたのか。 

 こちらのお話では、実際にあった裁判例を参考に「トラブルが起きないようにするにはどのような配慮が必要なのか」を考えていきたいと思います。

大切な我が子の事で裁判にまで発展してしまうトラブルとはどんな事なのか…過去の事例からどんなトラブルが起こりうるのかを知り、トラブルに発展しないために、私たちはどんな事に気を付けなければならないのか… 

普段の生活の中で、貴方の大切な動物を守るために出来る事を見つけるきっかけとなりましたら幸いです。

 ※個人の感想になりますので、皆さまのご家庭の事情に合わせて検討する上での参考になさって下さい。

※裁判例の内容はあくまで参考です。説明する上で一部言い回しを変えたりしておりますことをご了承下さい。

 

 

①動物と交通事故(東京地裁H24.9.6判決 参照)

 

*トラブルの内容

犬にリードをつけて散歩に出たところに自動車が来たので立ち止まって待とうとしたが、犬は飛び出してしまい、車に弾かれて亡くなってしまった。

 

*裁判と判決

飼い主側にも過失があるとして、過失割合を飼い主:運転手=8:2と認定されました。

自動車の運転手は住宅街という周囲に注意し、直ぐに停止出来るように速度を考えて運転していなかった事に対して過失があるとされました。

飼い主側にも犬の行動を予測して道路に飛び出さないように適切な対応をしなかった事に対して過失があるとされました。 

裁判所が認めた損害額から過失相殺後の額は、約7万円でした。

損害額の内容は、「犬」という財産の額、葬儀費用、治療費、証明書等手数料、慰謝料、弁護士費用です。

 

*考察とトラブルに合わないために出来る事

今回の飼い主さんは、愛犬をリードに繋いでいたものの自由に動けるリードの長さがあったのにも関わらず、自動車が近づいて来る事を認識しながらも、犬が飛び出さないように対処する事が十分ではなかったようです。

きっと、避難させようとする飼い主さんの思いは会ったのだと思いますが、愛犬が車に驚いてパニックになったり、又は散歩が嬉しくて突然走り出すなど、その子の性格を理解してリードを短く持ったり、犬を抱きかかえたりするなど、犬が自由に動けない状態にしてあげる事が必要だったのかなと思います。

また、家の前が車通りの多い道路であれば、飛び出し注意の看板をつけるなどの措置もできたかもしれません。

 

動物と傷害、死亡事故(大阪地裁H21.2.12判決 参照)

*トラブルの内容*

屋外で猫と飼い主が一緒にいたところに放し飼い状態の犬が走ってきて、猫を咬み殺してしまった。

 

*裁判と判決*

今回の争点は、飼い猫は老齢で雑種であり市場価格がなく“財産的価値がない”ことから飼い主の“財産権が侵害されていない”ので不法行為による責任追及は出来ないのではないかという点です。

裁判所は、老齢である雑種の猫(愛玩動物)には市場価格はないものの、愛情をもって飼育され単なる「動産」の価値以上の価値があるものとして、猫の飼い主(所有者)が認識しており、その事は社会通念上受け入れられることから、ただちにその愛玩動物に財産的価値がないと結論づけることは失当であると判断しました。

この争いの中での犬の飼い主から、猫の飼い主は猫をひもでつないでおくべきであり、また、逃走した犬を認識した時点で抱きかかえたりして危険を回避すべきだったのにそれを怠っているという主張がなされたようです。

放し飼いにすることは犬の飼い主としての注意義務を著しく怠っており義務を果たしていないのは明らかであるところ、猫の飼い主に落ち度があるとしても軽微であるため、過失相殺は相当でないとしています。

最終的な賠償額は、所有者の精神的損害のとして慰謝料の額が争われ20万円が認定されました。

精神的苦痛は飼育期間に比例して増大するものとの考えも含めた判断だったようです。

*考察とトラブルに合わないために出来る事*

 〈愛猫の飼い主に出来る事〉

本件のような賠償額が認定された事、最善を尽くした弁護士さんや裁判所の判断は、飼い主さんにとってほんの少しでも心の救いになってくれていれば…と思うような事件です。

それでも家族同然の愛猫の存在を埋めることはできませんね。

飼い猫を外に連れ出す時は、細心の注意が必要です。

自由な外を歩かせてあげたい。草原を走らせてあげたい。そう願うきもちは本当にわかります。

ですが、子犬や小動物も同じようにいつ事故に巻き込まれるか想像がつかない時があります。

突然走り出したり、落ちているものに傷ついたり、食中毒を起こしたり、外敵は飼い犬だけではりません。カラスやトンビなどの野生動物もそして、人も。

室内飼いが主流になってきましたが、小さな動物や老齢の動物はほんの少しの間でも外に出すとこがどんなに危険か、どうしても出す必要がある場合は予めその場所を調査し対策を練って本当に安全なのかを再確認することが必須だと思います。

 

〈愛犬の飼い主に出来る事〉

愛犬が今回のような事故を起こしてしまう事は、本能である犬自身には何の責任もありません。

放し飼いで愛犬に自由さを与えたつもりが、他人の大切なものを奪ってしまうことがあります。

咬みつき事故の事例は多くあります。今回の事例は被害者が猫でしたが、多額の倍書責任が生じる人間が被害者の事故も多くあります。

どんなに大人しい愛犬でも、リードをつけて目を離さないことは基本ですね。

犬が大好きな方もたくさんいますが、苦手な方やアレルギーを持つ方の気持ちも十分に配慮されなければいけないと思っています。

公共の場での他者に常に配慮を怠ると最終的にその愛犬が「加害者」として扱われてしまうことになってしまう。

飼い主としての義務を肝に銘じる事例だと思います。 

 

③動物と居住環境(東京高裁H25.10.10判決 参照)

 *トラブルの内容*

分譲賃貸マンションの居住者が飼っている犬が他の居住者に咬みついてしまい、その居住者はそのことが原因で引っ越しをしてしまいました。

その飼い主は大家に対して次の入居者が見つかるまでの賃料相当の損害賠償を命じられました。

*裁判と判決*

本件マンションの規約には「室内で飼育できる小動物」の飼育が認められていましたが、咬みついた飼い犬は、ドーベルマンという大型犬でした。

そしてその時に散歩していたのは6歳の子供でした。

敏捷でエネルギッシュな性格で護衛犬としても知られているドーベルマンをコントロール出来ないことは客観的に見ても明らかであり問題がありました。

そして咬まれた被害者は4歳の子供であり、その家族全員がマンションに住み続ける事が困難な精神状態に追い込まれてしまったそうです。

高級マンションでのトラブルで、賃料が高額であり損害額は1700万円となってしまいました。

 

*考察とトラブルに合わないために出来る事*

今回のように子供が犬を散歩させている場面はよく見かける光景です。

犬との信頼関係が厚く、その犬もしつけが行き届いているのかもしれません。

ですが、動物の本能としてもつ衝動的な行動や予測出来ないトラブルが起きる事は必ず存在します。

どんなに飼い主に自信があっても二重三重の十分な配慮が必要です。

子供が散歩に行く時は大人も同行してリードは二重に付けて散歩をさせる。大型犬であれば小さな子供や動物がいるところは避けるなど、散歩コースにも配慮が必要かと思います。 

居住環境に共用スペースがあるマンションのように、他者との生活スペースが重なる環境ではより一層の配慮が必要です。

マンション規約違反は、損害賠償だけでなく、賃貸借契約の解除、飼育の禁止など現在の生活が出来なくなる判決がなされることがあります。

飼育者だけでなく、飼っている動物にとっても大きな問題です。周りへの配慮は生活する上で不可欠です。

規約に違反していなくても、近隣住民への挨拶、事前の了承、何かあった時のために円滑なコミュニケーションを心がける事でトラブル回避に役立つのではないかなと思います。 

また、それでも防ぎきれない事故も起こりうる事です。

被害者が人間であった場合、損害の賠償額は高額になることがあります。

例えば、愛犬の散歩中に飼い主がリードを離してしまい、ランニングしていた男性は猛スピードで駆けてきた犬を避けるためにバランスを崩し転倒して骨折した事件では、賠償額は1284万円になった裁判例もあります。

このような万が一の事に備えて、「個人賠償責任保険の特約」に加入しておくことで、ペットによる損害についても保険が適用される場合もあります。

飼い主の責任として、今、加入している保険の内容を確認してみる事もよいかと思います。

 

④動物と近隣トラブル(東京地裁H7.2.1判決 参照)

*トラブルの内容*

多頭飼いしている犬たちの鳴き声で訴えられてしまった

 

*裁判と判決*

犬たちの鳴き声は近隣住民にとって受忍限度を超えたものであると認めました。

飼い主の責任として、以下のような基準で義務違反があるとしました。

住宅地で飼育する上では、近隣の住民に魅惑を及ぼさないように

①常に飼い犬に愛情をもって接し、

②規則正しく食事を与え、

③運動不足にならないように散歩に行き、

④日常生活における“しつけ”を行い、必要があれば訓練士をつける等の

「飼育上の善管注意義務」を負うところ、その義務に違反する。

 との判断です。

 

*考察とトラブルに合わないために出来る事*

都会の住宅街で大型犬2匹、中型犬2匹が連日、夕方から翌日朝方まで断続的に鳴き続けていたそうです。

また、近隣住民は区役所に嘆願書や保健所や警察署にも相談しており、行政指導もなされたが、改善しなかったとい事情も背景にありました。

飼い主さんは明らかに近隣住民に迷惑をかけている事を認識しながらも対策を取らなかったのは残念ですね。

犬たちにとってもそれだけ鳴き続けるということは窮屈な生活だったのかもしれません。

自分の生活環境で適正飼育が出来るか、飼い始める前によく検討すること。

「かわいいから欲しい」という気持ちが大きくなっている自己の判断だけではどうしても適正な判断にかけてしまうかもしれません。

第三者に相談して、十分に熟慮する事が必要なのかもしれません。

愛玩動物の重要性が高まった現代だからこそ、「飼育適正チェック」を客観的に確認する手段や、飼育条件を具体的に設ける必要が出てきているのかもしれません。

 

⑤動物と暮らし(ペットホテル)(福岡地裁H21.1.22判決 参照)

 

*トラブルの内容*

ペットホテルに預けたところ、従業員が散歩に連れて行った際に犬が逃げてしまい行方不明になってしまった。

 

*裁判と判決*

飼い主から「他の犬を怖がる犬なので他の犬と一緒にしないで欲しい」と注意事項を伝えられていたにもかかわらず、他の犬と一緒に散歩に連れて行ったこと。その結果、散歩中に首輪が抜けて逃げてしまったこと。

さらに、行方不明になった事をすぐに飼い主に告げず、その後の説明や捜索に対する態度も真摯な対応がなされず、飼い主への誠実さが欠けていたことなどから60万円の損害賠償が認められました。

この損害額は精神的苦痛に対する慰謝料等であり、捜索のための費用などは相当因果関係がある損害がある損害とは言えない。

 

*考察とトラブルに合わないために出来る事*

 

本件のペットホテルのように、飼い主からの問い合わせに正直に回答せず、捜索についても不誠実であるようなお店であるかどうかは、事前によく調べておく必要がありそうです。

 例えば…

・預けている時の動物の生活環境や散歩が必要な場合はその方法

・スタッフは預ける動物の性質をよく知っていて適切な飼育が出来ているか。

・飼い主や動物への対応や預けている時の報告や緊急時の連絡方法

・緊急時の提携動物病院の確認や、かかりつけの動物病院と事前に相談する

 そして、預ける時は数日間預けるのではなく、数時間のお預けや爪切りやトリミングを行っているお店であればそのようなサービスを利用してみる等、ホテルの環境を少しずつ知る事は、動物に慣れてもらうためにも有効かと思います。

預ける際には、我が子がどんな性格の子かよく把握して預け先にメモなどにして伝える事が重要用かと思います。

ペットホテルに預ける場合は、普段と違う環境で体調を崩してしまう子や大きなストレスになる子もいます。

どんなに誠実なホテルでも、不測の事態は起こるものとして出来る限り飼い主側もホテルが万が一の時でも対応しやすいように協力する姿勢も必要かと思います。

 

 

 

最後に…

大切な動物と毎日幸せに暮らしたい。

そんな気持ちをもった方々のお役に立ちたいと思っております。

 

動物が好きな方も嫌いな方もアレルギーのある方も一緒に暮らしている社会で、トラブルに発展しないようにするにはどうしたらよいのか。

動物と暮らす中で気をつけること、他者を理解すること、立場や事情を理解し譲りあうこと。

 

大切な動物が豊かに幸せに暮らしていくには、私たちが周りへの配慮を忘れないことが大切だと考えています。

 

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